11月29日 第4回定例会

○議長(瀧澤良仁君) 9番・井上ノエミ君
   〔9番 井上ノエミ君登壇〕
◆9番(井上ノエミ君) 私は、みんなの党の井上ノエミです。

 まず、洪水対策について山崎区長にお伺いします。

 私は今月、墨田区教育委員会が開いた「すみだ地域学セミナー」に参加しました。江戸東京博物館で開かれたセミナーで、「ロンドンから考えるすみだのまちづくり」というタイトルでした。とてもおもしろい内容でしたが、デイビット・ハチンソンさんという元ロンドン市の部長さんがロンドンの洪水について話しました。また、先月からはタイのバンコクでは大洪水が続いています。そこにある日本の会社も大変大きな被害を受けていて、日本でも毎日報道されています。
 そこで、本日は墨田区の洪水対策について伺います。これまでも何度か区議会でも質問されていますが、大変重要な問題ですのでよろしくお願いします。
 平成20年9月に中央防災会議の大規模水害対策に関する専門調査会は、荒川の洪水による被害想定を発表しています。これによると、200年に一度の洪水によって2,100人が死亡するとしています。もし、洪水の規模が1000年に一度の洪水になれば、4,500人が犠牲になると想定されています。そこで、十分な対策を行う必要がありますので、山崎区長に伺います。
 水害対策としては、墨田区はハザードマップを区民に配布して注意を呼びかけています。しかし、このマップを配布するだけでは、区民に洪水の危険を理解してもらうのは難しいと思います。洪水の犠牲者をなくすためには、避難率を上げることが重要です。避難訓練をして避難率の増加のための対策をとるべきです。特に、幼稚園や保育園など小さな子どもを預かる施設、また老人施設などでは日ごろの訓練が大事だと思いますが、いかがでしょうか。さらに、来年の3月11日に、そのための防災訓練をしてはいかがでしょうか。
 現在、水害時避難場所となっている墨田区内の小学校・中学校だけでは住民全員を収容することは難しいと思います。最近増えているマンションの管理組合に、洪水のときには避難場所として住民を受け入れるように頼んではどうでしょうか。
 今回の東日本大震災において、釜石市の教育委員会が日ごろから防災教育に力を入れてきました。そして、多くの子どもたちの命を助けることができました。その防災教育は、群馬大学大学院の片田先生が教えたものです。墨田区としても、片田先生に墨田区の防災アドバイザーを頼んで、区民の命を守る対策を実施してはどうでしょうか。
 次に、東京スカイツリー開業の区民祝賀イベントについて伺います。
 来年の5月に開業する東京スカイツリーは、既に日本中で有名になっています。したがって、この区民祝賀イベントは、全国からも注目されるでしょう。是非スカイツリーにふさわしいイベントにしていただきたいと思います。そこで、私から幾つかご提案させていただきますので、区長のご見解を伺います。
 まず、今回の東日本大震災の被害を受けた被災地から、パレードに特別に参加してもらってはどうでしょうか。被災地の方々にパレードに参加して、元気を出してもらいたいと思います。特に、東北地方では、例えば仙台の七夕まつりなど有名なまつりがあります。東北地方のまつりをパレードで披露してもらえたら、大変おもしろいと思います。貴重な機会になると思います。そして、墨田区と東北地方との連帯が強まり、多くの東北の方がスカイツリーに来ていただけると思いますが、ただ、被災地では行政機関は今大変忙しいと思いますから、JCなどの民間のグループに話して協力をしてもらってはどうでしょうか。
 また、このイベントに、是非東京にある大使館から大使を招待していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。外国からの観光客を呼び込むための第一歩になると思います。また、台東区ではサンバカーニバルや上野夏まつりなどのパレードを毎年やっています。私も毎年、上野夏まつりにはボリビアの友人たちとパレードに参加しています。大変多くの人が見にきます。是非墨田区でこのようなパレードを毎年やれば、多くの観光客も来て、商店街で買い物をしてくれると思います。是非祝賀パレードを来年から毎年、行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、伊豆高原荘の管理運営について伺います。
 伊豆高原荘に視察に行きました。伊豆高原荘は区民にとって大変貴重な施設であると思いますが、同時に維持管理費に相当の税金を使っています。今後、この施設をどうしていくか真剣に検討する必要があると思います。そこで何点か伺います。
 昨年は1万4,681人の人が伊豆高原荘に泊まりましたが、そのうち区民及び区内在勤者の利用は何人で、何%になるか教えてください。また、昨年度、指定管理者に払った維持管理費は幾らか教えてください。
 もっと多くの区民に利用してもらうために、もっと宣伝をする必要があると思います。例えば区の広報にも宣伝を入れてはどうでしょうか。また、区内に住んでいる外国人のために英語や中国語、韓国語で宣伝をしてはどうでしょうか。観光ニーズが多様化した今、伊豆高原荘を見直すべき時期に入ったと考えます。どうでしょうか。
 次に、学校のいじめ対策について、横山教育長に伺います。前回もいじめ対策についてはお伺いしましたが、いじめ対策は学校教育上、大変重要な課題ですので、また伺います。
 前回、教育委員会は、いじめについてのアンケート調査を実施したというご答弁でした。そこでまず、その結果について伺いますが、いじめの件数は何件でしたか。また、深刻ないじめは何件ありましたか。また、実際に教育委員会が指導を行ったケースはありますか。具体的にどのようないじめがあったか教えてください。
 平成18年10月に文部科学省はいじめ問題についての通達を出しました。そして、いじめ対策のチェックポイントを示しています。それによれば、教育委員会に保護者からの相談を直接受け付けることのできる相談体制を整備するように指導されていますが、墨田区の教育委員会はこのような相談体制がありますか。あるのなら、是非この相談窓口についてホームページに載せてもらいたいと思いますが、どうでしょうか。また、文部科学省のこの通達によれば、深刻ないじめを行う児童生徒に対しては出席停止を命じることができます。このようなケースがありましたか。
 次に、小学校の英語教育について伺います。
 9月の定例会で質問したときには、横山教育長のご答弁では、子どもたちが英語に触れる機会を増やすようにご検討いただけるということでした。その後、何か具体的に検討していただきましたでしょうか。前回は、私はスピーチやスペリングのコンテストをしてははどうか提案をしました。
 先日、英語の教育に大変詳しい方にアドバイスをいただきました。小学校の場合はアメリカで盛んに行われているスペリングコンテスト、これは英語ではスペリング・ビーと呼ばれていますが、これが英語の基礎を付けるのに大変効果的だとおっしゃっていました。スペリングコンテストというと読み書きではないかと思いますが、実際にはdog、book、foodなどの簡単な単語のスペリングを大きな声で言うので、発音練習に大変有効だそうです。日本ではまだほとんどやられていませんので、もし墨田区が始めれば、日本では初めてということで大変自慢できると思いますので、是非これも検討していただければと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、教育委員会では生涯学習の青少年教育事業をやっています。是非この事業の中に英語学習を入れていただけないでしょうか。前回、私がお願いした英語キャンプなどを実施してはいかがでしょうか。
 これで質問を終わりますが、山崎区長、横山教育長のご答弁をお願いします。(拍手)
   〔区長 山崎昇君登壇〕
◎区長(山崎昇君) ただいまのみんなの党、井上議員さんからのご質問に順次お答えをいたします。
 最初のお尋ねは、洪水を想定した避難訓練の実施についてでございます。
 本区では、平成20年5月に墨田区洪水ハザードマップを作成し、全世帯を対象に配布をさせていただいたところでございます。このハザードマップは、荒川から洪水が発生した場合に想定される浸水の区域や程度、水害時避難場所などの情報を分かりやすくまとめ、区民の危機管理意識の向上や自主避難の確立など、洪水による被害軽減に役立てていただくことを目的にしたものでございます。
 洪水時における区の対応といたしましては、国や東京都、防災関係機関との連携を図り、正確な情報を迅速に収集するとともに、必要な情報を適時的確に区民に提供することが極めて重要であると認識をしております。特に、避難を要するような事態が発生する場合においては、直ちに防災行政無線や広報車両等を活用して緊急避難情報をお伝えすることになりますが、区民の皆さんも日ごろから避難の手順を確認し、防災行動力を身に付けていただくことが極めて大切であると言えます。このようなことから、台風や豪雨などを想定した避難行動についても、区民防災訓練の中に新たな項目として加えていきたいと考えております。
 さらに、保育園や高齢者施設など災害時要援護者施設等につきましては、定期的に避難訓練を行うなどの働きかけを行い、啓発に努めてまいりたいと存じます。
 来年3月11日の東日本大震災から1年が経過する日の防災訓練につきましては、区としても何らかの訓練を実施したいと考えておりますので、ご提案の内容等も含めて検討させていただきたいと存じます。
 次に、水害時避難場所の確保についてでございます。
 洪水被害の状況にもよりますが、甚大な被害が生じた場合を想定した場合、小学校や中学校だけでは避難者全員を受け入れることについては限界があることも事実でございます。ご指摘のとおり、中高層マンションは洪水時における避難場所といたしましては非常に有効でありますので、現在、区としてUR都市機構との間で、水害時一時避難利用に係る協議を行っているところでございます。今後、条件が整い次第、防災協定を締結し、避難場所を確保していきたいと考えております。また、マンション管理組合、ホテル、大規模事業所に対しましても積極的に協力を求めるとともに、地域防災活動拠点会議など町会、自治会との協議の場を通じて、地元マンションへの協力依頼も行ってまいりたいと存じます。
 次に、防災アドバイザーの依頼についてのお尋ねがございましたが、洪水に関する専門的な知識・経験を有する方にアドバイスをいただくことは非常に有効だと考えます。ご紹介のありました群馬大学の片田教授を含め、区として防災の専門家の支援・活用方法等については、今後十分に検討してまいりたいと存じますので、ご理解のほどお願いを申し上げます。
 次に、区民祝賀イベントに関してのお尋ねがございました。
 先の新タワー建設・観光対策特別委員会でもご報告をさせていただきましたが、この区民祝賀イベントは、「スカイツリーの建つ街すみだの街びらき」を、区民の皆さんが主人公となって区民全体でお祝いし、区全体の祝賀機運を盛り上げていただくことを目的としているものでございます。特別委員会においてもさまざまなご提案をいただいておりますが、このイベントの実施に当たっては、警察をはじめとした関係機関との調整をはじめ、地域の皆さんのご協力が不可欠でございます。また、時間や場所等の制約もございます。ご提案にありましたように、東日本大震災における被災地からパレードの参加を募ることにつきましては、被災地を応援するという点では貴重なご提案と考えます。また、大使館から大使をご招待することにつきましても、この間、墨田区観光協会と連携して外国大使館に対しましてシティセールスも実施してきていることもあり、ご指摘のように外国からの観光客を区内に呼び込むことにもつながることが期待されるところでございます。
 一方で、先に申し上げましたように、本イベントの開催目的との関係もあり、一定の制約もある中で、十分な検討調整が必要と考えます。今後、具体的なイベントの内容につきましては、区民の代表者による実行委員会及び部会において検討されることになりますので、ご提案の趣旨も踏まえて検討させていただきたいと存じます。
 また、祝賀パレードを毎年実施してはどうかとのご提案もいただきました。
 ご紹介をいただきました上野や浅草のイベントには多くの観光客でにぎわい、商店街をはじめとした大きな経済効果をもたらしていると推測をしております。仮に本区においてもそうしたイベントを実施した場合には一定の経済効果も期待できるのではないかと考えますが、一方で地域住民の皆さんのご協力が欠かせないほか、関係機関との調整も必要となります。こうしたことから、現時点におきましては来年5月に予定されております開業イベントに全力で取り組ませていただき、今後の継続的なイベントの開催については別途検討させていただきたいと存じますので、ご理解をお願いいたします。
 次に、区外施設の管理運営について、伊豆高原荘に関するご質問がございました。
 まず、昨年度の伊豆高原荘の区民及び区内在勤者の利用者数についてでございます。
 利用者数の総数は1万4,681人で、そのうち区内在住・在勤者は7,386人で、全体の50.3%となっております。昨年度、指定管理者に支払った指定管理料は8,925万円となっており、利用者1人当たり6,079円、区内在住・在勤利用者数のみで割り返しますと1万2,084円となります。
 次に、区民の利用者数を向上させる広報につきましてのご質問がございました。
 現在、区のお知らせで、年末年始と8月の利用申込みの案内をいたしております。また、事業者の自主事業として実施しているバスツアーについても区のお知らせに載せ、おかげさまで毎回ほぼ満席になるほどの好評を得ております。
 また、区内在住の外国人向けの広報についてのご提案もございました。
 現在、区のホームページで英語、中国語及び韓国語での施設案内がご覧をいただけます。今後、多言語対応のパンフレットの作成も検討したいと考えておりますので、今しばらく時間をいただければと存じます。
 最後に、本施設の見直しについてのお尋ねがございました。
 ご指摘にもありましたとおり、トイレが客室にないことなど施設が今日の観光ニーズの多様化に対応していないことや、施設の老朽化に伴う大規模修繕の必要性があることから、指定管理期間が更新された今年から5年間のうちに、区民の皆さんや議会のご意見も伺いながら、本施設の今後のあり方につきまして一定の方向性をお示ししたいと考えておりますので、ご理解をお願いいたします。
 以上で、私からの答弁とさせていただきます。
   〔教育長 横山信雄君登壇〕
◎教育長(横山信雄君) みんなの党、井上議員さんの質問に順次お答えをいたします。
 初めに、学校のいじめ対策に関するお尋ねがございました。
 いじめの対応には、早期発見、早期指導が大切であり、いじめの実態を可能な限り正確に把握することが解決の第一歩であると考えております。各学校では、児童生徒を対象にアンケート調査を行ったり個別の面談を実施したりするなど、いじめの把握、対応に努めているところでございます。いじめの件数につきましては、先月、10月の場合では小学校1件、中学校4件の報告がございました。「からかい」や「冷やかし」が主な内容であり、どの事例も学校において早急な対応が施されたことで、教育委員会が直接指導することなく解消の方向に向かっております。
 次に、相談体制についてでございますが、本区では全校にスクールカウンセラーを配置するとともに、すみだスクールサポートセンターを総合相談窓口として位置付け、保護者からの相談を含めて対応しております。年度初めに、各機関の案内チラシを全校に配布して周知を図っておりますが、ご指摘にございましたが、教育委員会のホームページ上への掲載も検討してまいりたいと思います。
 次に、深刻ないじめを行う児童生徒への出席停止についてでございますが、墨田区立学校の管理運営規則において出席停止について規定し、命じることができるようになっております。しかしながら、この出席停止の制度は、当該児童生徒に対する懲戒という観点からではなく、学校の秩序を維持し、他の児童生徒の教育を受ける権利を保護する観点から行われるものです。また、当該児童生徒の教育を受ける権利にも配慮する必要があります。本区におきましては、各学校においてこうした観点からの取組を行ってきたことから、出席停止を命ずるまでに至ったケースはございません。
 次に、小学校の英語教育に関するお尋ねがございました。
 まず、子どもたちの英語に触れる機会を増やすことについてですが、他の区では小学校5年・6年生に対して年間35時間の授業を行っているのに対し、墨田区は年間50時間以上実施し、英語に触れる機会を拡大しております。また、英語によるコミュニケーション能力を高めるため、本区独自のテキストを活用するとともに、外国人講師を5年・6年生各学級に年間25時間配置し、英語に慣れ親しむようにしております。こうした取組を継続して行うことが、子どもたちの英語に触れる機会を増やすことになると考えております。
 次に、スペリングコンテストに関するご提案についてです。
 参考になるご提案ですが、小学校の外国語活動は、「すべての児童の英語によるコミュニケーション能力の素地を養うこと」を目的としており、学力として英語の定着を図るものではなく、また小学校段階から英語が嫌いになるような環境にしてはならないと考えております。したがいまして、区教育委員会としては、英語に触れる機会を増やすことを通して、子どもたち自身が英語に興味・関心を持ち、コミュニケーションを楽しみ、子ども自身がもっと英語を使えるようになりたいと思える教育活動を展開したいと考えております。そのためにも、「コミュニケーション能力の素地を養う」指導に重点を置いた取組を、さらに学校現場で充実させていきたいと考えております。
 次に、生涯学習の青少年教育事業における英語学習についてお尋ねがございました。
 小中学生に関しては、先ほど申し上げましたとおり、学校教育において英語に触れる機会の拡充や独自テキストの活用など英語教育の充実を図っていきたいと考えております。他方、高校生以上においては、すみだ生涯学習センターで各種英会話の講座を実施しており、次年度は地域学セミナーにおいても国際化に対応した英語を使ったまち案内の講座を検討しておりますので、そうした講座を受講することも可能でございます。
 なお、ご提案のありました「英語キャンプ」につきましては、英語を意欲的に学びたい児童には有効と考えておりますが、まずは学校教育における英語の授業を確実に行うことで、子どもたちの英語力の定着を図っていきたいと考えておりますので、ご理解をいただきたいと思います。
 以上で、井上議員さんへの答弁を終わらせていただきます。